大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和29年(あ)1654号 判決 1956年4月24日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人清瀬一郎、同内山弘、同木内曽益の上告趣意第一点について。

原判決は、第一審判決判示第三(一)に掲ぐる拳銃の不法所持については、銃砲刀剣類等所持取締令を適用し、実包の不法所持については、火薬類取締法を適用した趣旨であること明らかであり、従って実包については適用法律の施行期日たる昭和二五年一一月三日以後の不法所持を罰した趣旨であることもまた明らかである。それゆえ原判決に所論のような違法はなく、この理由に基く憲法三九条違反の主張は前提を欠くことに帰し、採用することはできない。

同第二点について。

原判決は、現行の「銃砲刀剣類等所持取締令」を適用したのであって、その摘示になんら誤はない。そして本件のような場合、所論のように立法の経過を具さに掲ぐることを要するものではない。所論引用の判例は本件に適切でなく、所論は結局採用できない。

その他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべき事由とは認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小林俊三 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 本村善太郎 裁判官 垂水克己)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例